「日本文学100年の名作第5巻 百万円煎餅」
高度経済成長期は日本の文学復興をも呼び込んだ 「日本文学100年の名作 第5巻 百万円煎餅」新潮文庫 「毛澤西」(邱永漢)1950年代の香港。フェリー・ボートから降りる客相手の新聞売りたちの多くは無許可営業であり、取...
高度経済成長期は日本の文学復興をも呼び込んだ 「日本文学100年の名作 第5巻 百万円煎餅」新潮文庫 「毛澤西」(邱永漢)1950年代の香港。フェリー・ボートから降りる客相手の新聞売りたちの多くは無許可営業であり、取...
「世間」「空気」という名の恐ろしい魔物 「補陀洛渡海記」(井上靖)(「日本文学100年の名作第5巻」) 新潮文庫 熊野浜ノ宮海岸補陀落寺の住職金光坊は気が重かった。今年は自分が補陀洛渡海の年にあたるからであった。補陀洛渡...
文豪への挑戦状~日本編 以前取り上げた、中学校2年生に薦めたい、海外の文学8冊。今日は日本文学です。こちらの8冊も何度読んでも読み飽きない、読むたびに新しい発見と感動のある傑作群です。 その1「潮騒」(三島由紀夫) 貧し...
心を覆っている雲をかき消すような出会い 「大洗の月」(井上靖)(「姨捨」)新潮文庫 月を見ようという気になり大洗まできた佐川は、古道具屋の飾窓の中に、かつて父とともに訪ねたことのある日本画家の坂本紫水の落款を持つ画を見つ...
あたかも晩夏の短い時期のような 「晩夏」(井上靖)(「教科書名短篇 少年時代」)中公文庫 ある年の晩夏、「私」は東京からやってきた病弱の少女・きぬ子に異様な執着と思慕の情を覚える。散歩するきぬ子を見つけては、仲間を使って...
子どもに夢を託すしかなかったちか女の半生 「胡桃林」(井上靖) (「姨捨」)新潮文庫 「私」は十二、三歳の頃に 磯川ちか女と知り合う。 ちか女は若くして 未亡人となったものの、 投機的資質と大胆な性格から 資産を増やし、...
報われなかった二つの愛情の邂逅 「玉碗記」(井上靖) (「百年文庫010 季」)ポプラ社 安閑天皇陵から出土した 「玉碗」を見に来いという連絡を、 旧友の桑島から受けた「私」。 考古学には興味はなかったが、 安閑天皇の名...
時代に先駆けた草食系男子・鮎太 「あすなろ物語」(井上靖)新潮文庫 前回取り上げた 「あすなろ物語」第一・二編。 続く第三・四編もまた、 鮎太に大きく関わるのは女性です。 「漲ろう水の面より」 高等学校を卒業した鮎太21...
鮎太に対して大きな影響を与える冴子と雪枝 「あすなろ物語」(井上靖)新潮文庫 祖母りょうと土蔵で 二人暮らしをしていた 13歳の鮎太のもとで、 19歳の少女・冴子が同居を始める。 冴子は鮎太に話す。 「あすは檜になろうと...